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全身性エリテマトーデス

2014年10月01日

山田昭夫

全身性エリトマトーデス

主な症状のまとめ
● 持続する発熱
● 頬部紅斑(蝶形紅斑)
● 光線過敏症
● 関節痛
● 精神神経障害(頭痛,けいれん,精神病様症状)
● 腎障害(腎機能障害,高血圧,むくみ)


【概要】

 膠原病、自己免疫疾患といわれるグループの中で代表的な病気で、いろいろな自己抗体(自分自身の身体の構成成分に対する抗体)が造られてしまい、全身のさまざまな臓器に多彩な病変を起こします。

 患者さんの数は3,000人に一人くらいで、日本全国で約3万人の患者さんがいるといわれています。重篤になる可能性のある難病ですが、最近は治療法が進歩し、生命予後は大変良くなってきています。しかし、若い女性に多い病気ですので、将来の妊娠・出産も考慮して治療する必要もあります。

【症状】

皮膚・粘膜、眼、関節・筋、腎臓、心臓、肺、脳・神経、肝臓、腸管など全身のあらゆる臓器に病変を起こす可能性があります。最初の症状として多いものは発熱、関節痛などです。健康診断でたんぱく尿を指摘されて気づくこともあります。

(1)発熱:最初に気づく症状として多いものですが、風邪などと異なり自然に治ることはまずありません。抗菌薬も効果がなく、1日のなかでも上がったり下がったりしながら、いつまでも続きます。このような抗菌薬の効かない原因不明の発熱(不明熱といいます)がある場合は、この病気を含めた膠原病や悪性腫瘍を疑います。

(2)頬部紅斑(蝶形紅斑):この病名をそのまま日本語に訳すと全身性紅斑性狼瘡となり昔はこの病名が使われていたこともあります。"狼に咬まれた傷跡のような皮疹"が、この顔面の蝶形紅斑を示しています。両頬部の皮疹は、日焼けと異なり鼻の凹んだ部分にも出現し両側がつながっているのが特徴です。

(3)光線過敏症:紫外線に当たると全身の皮膚に皮疹が出現する症状です。発熱を伴うことも多く、内臓病変も悪化させます。したがって、この症状を経験したことのある患者さんは、直射日光を避けなければなりません。ただ紫外線はガラスを通すと2割以下に減弱しますので、ガラス越しの日差しはまず問題ありません。

(4)関節痛:最も多い症状ですが、関節リウマチと異なり、骨・軟骨が壊れることはありません。ただ、関節周囲の関節を支える組織がゆるんで、外見上の変形をおこすことはあります。

(5)精神・神経症状:代表的な症状は、けいれんと統合失調症に似た精神症状です。しかし,発病初期に起こすことはまずありません。けいれんは重篤で発作に対する治療が必要ですが、後遺症を残さず治ります。統合失調症や躁うつ病などに似た症状を起こすこともありますが、急性期には精神科的治療が必要なこともありますが、本症の治療で後遺症を残さずに軽快します。

(6)腎障害:生命予後を左右する最も重要な病変です。症状からは【1】腎炎型,【2】ネフローゼ型,の二つに大別されます。腎炎型では腎機能障害とそれによる高血圧が、ネフローゼ型では低たんぱく血症による"むくみ"が特徴です。

(7)その他:脱毛もよく見られる症状です。稀なことですが、皮膚潰瘍、たんぱく漏出性腸症(小腸から自然にたんぱく質が漏れてしまい血液のたんぱく質が減ってしまうもの)、急性びまん性間質性肺炎、肺胞出血など重篤な病気を合併することもあります。

【検査】

抗核抗体など免疫学的検査の異常が特徴的ですが、障害を受けた臓器によって、それに応じた検査異常を示します。

(1)血液算定検査:赤血球減少(溶血性貧血)、白血球減少(白血球の中でも特にリンパ球減少)、血小板減少が起こることがあります。

(2)腎臓検査:腎臓機能は血清クレアチニン値が有用です。悪くなると高くなります。ネフローゼ型では血清アルブミン低下、血清コレステロール増加、尿たんぱく陽性が特徴です。腎臓の評価には腎生検で組織所見をみることが重要で、診断のためにも、治療方針を決めるためにも大変役立ちます。

(3)免疫学的検査:膠原病は自己免疫疾患に属し、自分の身体の構成成分に対する抗体(自己抗体)が出現します.特に本症では多彩で、細胞核の成分に対する抗体(抗核抗体)、その中でも抗DNA抗体,抗Sm抗体が特徴的です。その他、抗赤血球抗体(クームス抗体)、抗血小板抗体、抗リン脂質抗体(梅毒血清反応偽陽性の抗体)などが出現することがあります。

【診断】

全身性エリテマトーデスの診断には、決め手となる診断方法がなく、米国リウマチ学会が提唱した分類基準によって診断されます。

全身性エリテマトーデスの分類基準(米国リウマチ学会1982年制定、1997年改訂)

1.頬部紅斑   両側の頬にまたがる蝶々のような発疹(蝶形紅斑)
2.円板状紅斑  表面がうろこのようなもので覆われた隆起性紅斑
3.光線過敏症  日光にさらされた時におこる激しい皮疹.
4.口腔内潰瘍  口腔あるいはのどに出現する痛みを伴わない潰瘍
5.関節炎    腫れ,熱感を伴う関節痛で関節破壊を伴わない
6.漿膜炎    胸膜炎あるいは心膜炎
7.腎障害    持続性たんぱく尿あるいは血尿、異常な細胞性円柱
8.神経障害   全身性のけいれんあるいは統合失調症のような精神障害
9.血液学的異常 溶血性貧血、白血球減少、リンパ球減少あるいは血小板減少
10. 免疫学的異常 抗dsDNA抗体、抗Sm抗体あるいは抗リン脂質抗体陽性
11. 抗核抗体陽性
上記11項目のうち4項目以上を満足したものを全身性エリテマトーデスと診断する

【治療】

治療に欠かせないのは副腎皮質ステロイド薬です。効果不十分な場合あるいは副作用のため減量しなければならない場合は免疫抑制薬を使用します。副腎皮質ステロイド薬は重症度に応じて使用量を調節しますが、腎障害の場合は腎生検(腎臓に針を刺して組織をとって調べる検査法)により、活動性の強い場合は多量の副腎皮質ステロイド薬を長く使用し、活動性の弱い場合は比較的少量で治療します。その他、精神神経症状の強い場合も多量長期使用します。副腎皮質ステロイド薬で効果不十分の場合は免疫抑制薬を使用しますが、よく使われるのはシクロホスファミド(エンドキサン)の大量点滴パルス療法とタクロリムス(プログラフ)です。

●妊娠・出産に対する影響
 妊娠中はからだの中に副腎皮質ホルモンが増えるので、症状は軽減することが多いといわれています。しかし、腎障害については別で、以前より妊娠中には妊娠腎が起こりやすいことより、ループス腎症を悪くするという考え方が主流でしたが、最近は、正常人が妊娠によって起こる腎障害と発生率は変わらないとする報告もあり、はっきりとした結論は出ておりません。出産後は内因性の副腎皮質ホルモンが急激に減少するので、それに対応した治療が必要です。

 妊娠中の薬剤の胎児への影響に関しては、副腎皮質ステロイド薬はプレドニゾロンが胎盤を通過する量が少ないので10mgまでなら支障ないということになっていますが、もっと多くても支障なかった場合も多くあります。超音波で胎児の成長を確認しながら、必要に応じて10mg以上の使用も可能と思われます。免疫抑制薬はシクロホスファミドは胎児への影響があり使用禁止薬です。タクロリムスは服用しがら正常に出産した例もありますが、安全詩は確立されておりません。

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