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皮膚筋炎と多発性筋炎について

2014年10月01日

山田昭夫

皮膚筋炎と多発性筋炎について

主な症状のまとめ
● 筋力低下・筋肉痛(上腕、大腿など近位筋)
● 皮疹(上まぶた、関節の伸側)
● レイノー症状
● 間質性肺炎(労作時の息切れ)


【概要】

全身の筋肉に慢性の炎症を起こす病気ですが、筋肉のみに強い症状を起こす多発性筋炎と皮膚にも特有の皮疹を起こす皮膚筋炎があります。また、その移行形もあることから両者をまとめて皮膚筋炎・多発性筋炎と総称することもあります。しかし、最近の研究で、多発性筋炎は筋肉のみに炎症を起こすもの、皮膚筋炎は筋膜(筋肉を包む組織)に炎症を起こすもので、それが筋肉内に波及していくもの、と両者は別の病気であることがわかりました。皮膚筋炎は皮膚症状のほか、間質性肺炎、レイノー症状など全身に病気が及ぶことが多く、また悪性腫瘍が合併することもあります。多発性筋炎は筋肉以外の臓器の病気はほとんどありません。

【症状】

筋症状、皮膚症状はどちらかが先かさまざまです。発熱で始まることもあります。
(1)筋症状:筋肉の症状は近位筋といって、からだの中心に近い筋肉(頸、肩、上腕、腰、大腿)から始まります。筋力の低下、筋肉痛、筋肉の把握痛などを起こし、その後、筋肉は委縮し元に戻らなくなります。近位筋の筋力低下は、下肢では、しゃがみ立ちができない、上肢では、赤ちゃんを抱く力がなくなった、手が上に挙がらない、頸では、寝た位置から頭を上げられない、などの症状として現れます。食べ物を飲み込む筋肉(嚥下筋)もやられて、食べ物を飲み込みにくくなることもあります。つまむ力や握力の低下は、からだの中心より遠い筋肉(遠位筋)の症状ですので、病気の初期で現れることはありません。
(2)皮膚症状:皮膚の症状はさまざまなものがあります。上まぶたのうす紫色の発疹はヘリオトロープ疹と呼ばれ特徴的な皮疹です。手指の関節の背側のかさかさした皮疹はゴットロン徴候と呼ばれ、これも特徴的な皮疹です。ひじ関節、膝関節の伸側にも同じような皮疹が現れることもあります。爪周囲にも皮疹や小さな血管が詰まった梗塞などさまざまな症状を起こします。
(3)レイノー症状、肺高血圧:レイノー症状といって、冷やすと指が白くなり、温まると反動で赤紫色になる(二相性)症状は膠原病に共通して起こる可能性のある症状ですが、皮膚筋炎では起こりやすい症状です。肺動脈にも同じようなことがおこるのか肺動脈の血圧が高くなり(肺高血圧)、重篤になることもあります。
(4)間質性肺炎:間質性肺炎は普通の肺炎(細菌性肺炎)とは全く別のものです。肺胞に吸い込んだ酸素が動脈に運ばれるのが障害されるもので、軽度では安静時には苦しくありませんが、運動時に苦しくなるのが特徴です。苦しい時はせきも出ますが、たんはでません。さまざまな膠原病に間質性肺炎が合併しますが、皮膚筋炎に伴う間質性肺炎は重症化するものがありますので重要です。

【検査】

(1)筋逸脱酵素:筋肉が壊れると筋肉の中に含まれている酵素が血液中に出てきます(筋逸脱酵素)。代表的なものが、CK(クレアチンホスフォキナーゼ)ですが、その他、アルドラーゼ、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDHなどです。AST、ALTは肝臓の検査として有名で健康診断でも必ず調べられますが、筋炎では、ASTがALTより高いのが特徴です。これらは診断に有用であるばかりでなく、治療の指標としても重要です。
(2)免疫学的検査:皮膚筋炎も膠原病、自己免疫疾患に属しますので、抗核抗体が陽性になることがあり、抗核抗体の中でも、抗Jo-1抗体が特徴的で、20%くらいの頻度で出現し診断に有用です。
(3)その他の検査:筋力低下の診断には、筋電図(EMG)も有用です。筋肉の炎症をみるには造影MRIが有用です。異常な筋肉を見つけ出し、その部分を筋生検し組織学的診断を寸るにも、造影MRIは有用です。
間質性肺炎の診断には、胸部CTが有用で、血液検査ではKL-6が診断、経過観察に有用です。

【治療】

治療には副腎皮質ステロイド薬が必須です。筋炎で壊れた筋肉は元に戻りませんので、なるべく早く治療する必要があります。血液中のCKが高いうちはなるべく安静を保ち病気が落ち着くのを待ちます。使わないことによって衰えた筋肉は必ず元に戻りますので、活動性のあるうちは無理に運動をしないことが必要です。副腎皮質ステロイド薬で効果不十分な場合は免疫抑制薬を併用します。また、ステロイド薬を一定量以上の減量ができない場合は免疫抑制薬を使用し、ステロイド薬の減量につとめます。間質性肺炎を合併している場合は免疫抑制薬を併用する必要とすることが多いです。特に、重症の間質性肺炎の場合は免疫抑制薬の使用が不可欠です。シクロホスファミド(エンドキサン)・パルス療法、シクロスポリン(ネオーラル)、タクロリムス(プログラフ)などのが有効といわれていますが、保険診療では認められておりません。

●皮膚筋炎には悪性腫瘍芽合併することがあります。特に高齢者、男性、副腎皮質ステロイド薬が効きにくい患者さんは注意が必要です。

下図 ゴットロン徴候