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強皮症(全身性硬化症)

2014年10月01日

山田昭夫

強皮症(全身性硬化症)

主な症状のまとめ
● 皮膚硬化(手指→手背→前腕→前胸部→顔)
● レイノー症状(二相性:蒼白色→暗紫色)
● 食道蠕動低下・食道拡張
● 間質性肺炎
● 関節炎・関節痛


【概要】

 全身性硬化症は、皮膚が硬くなる病気ですが、皮膚だけでなく,食道の動きが悪くなったり、間質性肺炎、関節炎など全身の病変を起こすことのある病気です。

【症状】

(1)皮膚症状:皮膚が硬くなることが主な症状です。皮膚の硬化は指先から始まり、つっ張ってつまみにくくなるとともに、色素沈着で黒ずんできたり、逆に色素脱失で白っぽくなる部分も含まれたりします。またレイノー症状といって、手指が冷えると白くなり、その後、温まると紫色になってくる(二相性)症状を同時にあるいは手指の硬化に先立って出現します。皮膚硬化は進行すると、手指から手背、前腕、上腕に、さらには前胸部、顔面などに広がってくる可能性があります。下肢に起こることはほとんどありません。
また指の硬化・循環不全が進行すると、末節骨という指先の骨が吸収され細く薄くなるため、指の先端が短くなり爪の高さが低くなります。末梢循環の悪さから手指先端の潰瘍を起こすこともあり難治性です。
(2)食道蠕動低下・拡張:ふつう食道は蠕動といって波状の収縮によって食物を胃へ運ぶため、横になっていても食べられます。しかし、強皮症ではこの蠕動が低下するため、食物を飲み込みにくい、胸につかえる、横になると逆流してくるなどの症状を訴えます。また、胃液が逆流すると胃酸が食堂をいため、逆流性食道炎を起こし"胸やけ"症状を起こします。上部消化管バリウム造影検査で食道の蠕動低下・拡張が認められます。進行すると小腸も拡張します。
(3)間質性肺炎:強皮症では高率に間質性肺炎を合併します。間質性肺炎はよく言われる肺炎(細菌性肺炎)とはまったく別の病気で、肺から血管へ酸素を運ぶ部分の障害で、その症状は運動時の呼吸困難です。よほど悪化しない限り安静時には呼吸困難を感じません。強皮症に伴う間質性肺炎は急速に進行するものではなく、また副腎皮質ステロイド薬が効くタイプと効かないタイプがあります。
(4)関節炎:関節炎はふつうは関節を壊すものではなく、痛みだけのことが多いですが、手関節の場合は関節リウマチ類似の破壊・強直を起こすこともあります。関節炎は強皮症によるものか関節リウマチが合併したものか、その鑑別は難しいですが、治療は関節リウマチに準じて行います。
(5)腎クリーゼ:極めて稀なことですが、腎クリーゼといって腎臓の血管が細くなり、重度の高血圧(悪性高血圧)を起こすこともあります。
(6)シェーグレン症候群症候群の合併:眼の乾燥、口腔乾燥などの乾燥症状を特徴とするシェーグレン症候群を高率に合併します。精密に検査すると100%合併するという報告もあります。生命に別状をきたす病気ではありませんが、症状を考える上に留意しておく必要があります。

【検査】

(1)抗核抗体:膠原病は一般的に細胞核に対する抗体(抗核抗体)が陽性になることが多いですが、抗核抗体の中でも核のさまざまな成分に対する抗体に細分化されています。強皮症では、抗Scl-70抗体が特徴的で、約20%の頻度で陽性となり、他疾患で陽性となることはまずありません。その他、抗セントロメア抗体、抗RNP抗体などが出現することもあります。
(2)食道蠕動低下を調べるには、胃内視鏡検査よりも上部消化管造影X-P検査の方がわかりやすいですが、動きをみなければならないので、そのつもりで検査をしないとわかりません。
(3)間質性肺炎の診断には胸部聴診所見、胸部CTが重要です。診断、経過観察には血清KL-6値が有用です。

【治療】

現在のところ強皮症を治す治療法はなく、症状を少しでも軽くする治療(対症療法)が主となります。
(1)皮膚の硬化に先立つ手指がむくむ時期(浮腫期)には、副腎皮質ステロイド薬が有効ですが、硬化してしまったら無効です。以前より、関節リウマチの薬のペニシラミンが使われることがありますが、明らかな改善は期待できないようです。最近、免疫抑制薬(シクロスポリンA、タクロリムス)が有効との報告がありますが、保険適応外であり、今後の評価を待つところです。
(2)レイノー症状に対してはビタミンEや末梢血管拡張薬・血小板凝集抑制薬などが用いられますが効果は疑問です。
(3)逆流性食道炎に対しては胃酸を抑える薬、特にプロトンポンプインヒビター(PPI)がよく使われ効果があります。拡張した食道は治せませんが、食事を少量づつ回数を多くするのも一つの方法です。
(4)間質性肺炎に対しては、その組織型により、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬が有効のものがあります。

下図 手指先端の短縮、爪の短縮