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シェーグレン症候群について

2014年10月01日

山田昭夫

シェーグレン症候群について

主な症状のまとめ
● 眼乾燥
● 口腔乾燥・咽頭喉頭乾燥
● 皮膚乾燥,環状紅斑
● 関節周囲炎・腱鞘炎
● 全身倦怠感・易疲労感・軽うつ状態

【概要】

1933年にスウェーデンの眼科医シェーグレンによって関節リウマチの患者さんの中に眼乾燥,口腔乾燥を特徴とする疾患群があるとして記載されたことに始まる病気です。その後、関節リウマチだけでなくその他のさまざまな病気にも合併すること、また単独でも発病することがわかってきました。
乾燥症状は眼と口だけでなく皮膚、鼻、のど、気道などいろいろな臓器にも出現し、さまざまな不快な症状を起こします。生命を脅かすことはありませんが、つらい病気です。
公式には有病率は300人に一人くらいとされていますが、はっきりと診断はできないものの乾燥症状
があり何らかの検査異常を示す人は20人に一人くらいといわれています。

【症状】

乾燥症状を示す腺病変とその他の腺外病変に分けられていますが,基本的には外分泌腺の機能異常です。

(1)乾燥症状:
【1】眼の乾燥症状として、眼の乾燥感、粘着感、異物感,痛みなどがあり、角膜に傷がつくと乱反射により眩しさを感じます。結膜下出血を起こすと目が真っ赤になりますが心配するものではありません。
【2】口腔・気道の乾燥症状として、唾液の不足により、口が渇き乾燥した食べ物が食べにくくなります。唾液抗菌力の低下により、口内炎、虫歯、歯周病が起こりやすくなります。さらには、酸味で舌がしみる、味覚障害などを起こします。鼻やのどの乾燥症状としては、鼻の乾燥感、のどの痛み・違和感、声のかすれ、から咳などが起こります。乾燥しているので風邪をひきやすく、治りにくい傾向があります。
【3】皮膚も乾燥して、かゆみを伴い、ひび割れなどを起こすこともあります。また紫色の環状のしみ(環状紅斑)を起こすこともあります。
【4】膣も乾燥し性交渉に支障をきたすこともあります。
【5】関節の痛みや腱鞘炎もよく起こします。これは潤滑油の役割をする体液の分泌量低下のためかもしれません。関節の痛みは関節炎ではなく関節周囲炎、いわゆる"すじの痛み"ですので関節リウマチのような変形を起こすことはありません。朝のこわばり、バネ指、指先のしびれなども起こしますが、朝のこわばりは関節リウマチと異なり屈伸運動ですぐ改善します。

(2)乾燥以外の症状:
【1】からだがだるい。疲れやすい。何かをする意欲がわかないなど、うつ状態に似た症状(軽うつ状態)もよくみられます。うつ病とは異なり、自分を責めてひどく落ち込むことはありません。
【2】発熱もよくみられる症状です。37℃前後の微熱で、感染症と異なり、炎症反応(CRP)が陽性となることはありません。発汗の低下により体温調節がうまくいかないためと思われます。
【3】リンパ節腫脹もみられることがありますが、小さなもので、痛みもありません。極めてまれに悪性リンパ腫を併うことがありますが、その場合は大きくなります。
【4】間質性肺炎が合併することもまれにありますが、進行するものではありません。

【検査】

(1)免疫学的異常:抗核抗体陽性となることが多いですが、抗核抗体の中でも抗SS-A抗体、抗SS-B抗体が特徴的です。免疫グロブリン(特にIgG,IgA)が高値を示します。リウマチ因子が陽性となることもしばしば認められ、関節リウマチと間違えられることもあります。
(2)涙の量を調べるためにはシャーマー(Schirmer)試験、唾液の量を調べるためにはガム試験あるいはサクソン試験、唾液腺の状態を調べるために唾液腺シンチグラフィーが行われます。診断のためには口唇生験が行われることもあります。唾液腺造営は負担が強いので最近ではあまり行われません。
(3)その他:白血球減少(特に好中球減少)、血小板減少がみられますが、生命を脅かすほどのものではありません。唾液腺由来のアミラーゼ、胆道系酵素のAl-P,γGTPが高くなることもあります。

【治療】

根治的治療法はなく、対症療法になります。
(1)眼の乾燥症状:人工涙液(ヒアレイン点眼薬など)が一般的に使われます。症状の強い場合は涙点プラグを装着し、眼から鼻へ涙が流出するのを栓をして防ぎます。
(2)口腔乾燥症状:人工唾液(サリベート)やうがい(アズノールうがい液など)、ワセリンなどが一般的に使われます.唾液分泌を促す薬(サラジェン、エボザックなど)が発売されており有効です。サラジェンは唾液量を増やすばかりでなく、汗をかくという副作用がありますが、これはむしろ皮膚乾燥に効果があり、副作用というより望ましい作用となることもあります。エボザック、サリグレンは吐き気が大変多い副作用ですが、服用を続けるために量を調節する工夫も必要です。
(3)涙腺、耳下腺、顎下腺の腫れに対しては副腎皮質ステロイド薬が有効ですので、不自然に大きいようでしたら使用します。
(4)関節付近の痛みに対しては、痛み止めと疼痛部位の安静(痛む動作をしないこと)で対処します。副腎皮質ステロイド薬は有効ですが、止めると元に戻るので、社会生活上必要な時に限った方が良いように思います。

【おわりに】

いったん壊れた唾液腺や涙腺は現在のところ元に戻す方法はありません。しかし、病気から派生する多くの病変は予防することも可能です。根気強く、眼や口の手入れを行うことが大切です。シェーグレン症候群に罹ってしまったからといって命を縮めるようなことはまずありません。あせらず、暗くならず、病気を受け入れて楽しく過ごすよう心掛けてください。

(図)シェーグレン症候群友の会の患者さん 100人に対するアンケート結果