喘息・アレルギー・リウマチ・花粉症疾患情報

  1. ホーム
  2. 喘息・アレルギー・リウマチ・花粉症疾患情報
  3. 2018年08月20日

食物アレルギーとアナフィラキシー

2018年08月20日

小児科 斎藤博久

1. 食物アレルギーとは?
食物アレルギーとは、食物によって引き起こされる自分の体にとって不利益な症状が惹起される現象のうち、免疫反応が関与する場合をいいます。つまり、食物アレルギーに多いじんま疹や嘔吐・下痢などの症状は、食物アレルギーでなくとも、例えば、古くなったサバの体内でつくられるヒスタミンによる中毒(一種の食中毒といえます)などでもおこります。また、牛乳を飲むと下痢をする人の多くは、牛乳に含まれる(腸粘膜を刺激する)乳糖を分解することができない体質をもっています。これらの場合は、免疫反応は関与しないので食物アレルギーではありません。よって、免疫反応の存在が証明された場合のみ食物アレルギーと診断できます。食物アレルギーの免疫反応は多くの場合、アレルゲン*1特異的IgE抗体*2の関与する反応によっておこります。食物アレルギーは非常に微量でも反応がおこりますので、食中毒などの免疫反応によらない食物によっておこる不利益な症状とは対処・治療方針が全く違ってきます。

*1花粉や鶏卵などのアレルギー反応をおこす原因物質をアレルゲンといいます。
*2花粉や鶏卵などのアレルゲンに特異的に反応する体内の物質をアレルゲン特異的IgE抗体といいます。

2. アナフィラキシーとは?
 アナフィラキシーという言葉は、一世紀以上前から使われており、動物実験などではアレルギー反応全般を指すこともあります。しかし、アナフィラキシーという病名はより厳密に定義されています。つまり、「アレルゲンなどの侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状がおこり、生命に危機を与え得る過敏反応」と定義されています。なお、アナフィラキシーショックとは「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」と定義されています。

複数臓器というのがポイントの一つですが、具体的にいうと、鶏卵などのアレルゲンを食べた後、数分から1時間以内に、1 全身のじんま疹や発赤、唇の腫れなどの皮膚や粘膜の症状、2 繰り返す嘔吐や下痢などの腹部症状、3 呼吸困難やぜいぜい(喘鳴)などの呼吸器症状、4 血圧低下や意識消失などの循環器症状のうち、2つ以上揃った場合、アナフィラキシーと診断するという取り決めがあるのです。

3. 食物アレルギーは乳幼児に多い
 食物アレルギーは乳児に多い(約10%)のですが、学童期以降症状がなくなり、検査でもIgE抗体が陰性になることがあります。特に0歳児で多い鶏卵、牛乳、小麦のアレルギーは学童期までに80%の子どもで症状がみられなくなります。逆に、学童期以降に症状が出始めた食物アレルギー(エビ・カニ類、小麦、果物、魚類、ピーナッツ、ソバのアレルギーが多い)は成人になってもよくなる可能性は低いので、長期間その食品を避けなければなりません。

学校生活における健康管理に関する調査事業報告書によれば、小学生から高校生の様々なアレルギー疾患の有症率のうち、喘息とアトピー性皮膚炎の有症率は平成16年と平成25年とも5%前後で横ばいないし減少傾向だったのですが、食物アレルギーの有症率は平成16年2.6%から平成25年には4.5%と増加しました。アナフィラキシーの有症率も同様に0.14%から0.48%に増加しました。原因は不明ですが、妊娠中や授乳中、離乳期に鶏卵やピーナッツ(英米で多い)などアレルゲンとなる頻度の高い食物を制限するようになってから増えているという報告もあります。

*************************************************************

この解説は、日本小児アレルギー学会発行の「食物アレルギー診療ガイドライン2016」(http://www.jspaci.jp/allergy_2016/index.html)、「食物アレルギーの診療の手引き2017」(https://www.foodallergy.jp/)、日本アレルギー学会発行の「アナフィラキシーガイドライン」

(https://anaphylaxis-guideline.jp/pdf/anaphylaxis_guideline.PDF)に基づいて記載しました。



喘息・アレルギー・リウマチ・花粉症疾患情報 一覧