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食物アレルギーの診断

2018年08月20日

小児科 斎藤博久

1. アレルゲン(抗原)特異的IgE抗体検査

一番よく行われるのは血清中のアレルゲン特異的IgE抗体検査です。ダニや花粉抗原などのアレルギーをおこす抗原、つまり、アレルゲンに対する血清中のIgE抗体の有無や量を調べる検査です。とても鋭敏な検査ですが、食物アレルギーの場合、偽陽性が比較的多いので注意が必要です。特に乳児期にアトピー性皮膚炎があると多くの食物アレルゲンに対する特異的IgE抗体が増加しやすく、その場合、食べても症状がないことがしばしばあります。

2. 皮膚試験

皮膚試験(スクラッチテスト)は皮膚の上にアレルゲンのエキスを一滴たらし、その上を針で軽く引っ掻くことでエキスを皮膚の下の細胞に結合したIgE抗体と反応させる検査です。陽性の場合、10-15分で皮膚が蚊に刺されたときのように腫れてきます。アレルゲン特異的IgE抗体検査と比べると偽陽性(症状はないのに検査が陽性になること)は少ないですが、エキスに加工する際に失われるアレルゲンもあり(特に果物類)、陰性だからといって関係ないとも言えません。果物類のアレルギーが疑われる場合には、直接、その果物を針で刺して、そのまま皮膚を引っ掻くなどの方法をとることがあります。

3. 食物経口負荷試験と除去試験

食物アレルギーの原因アレルゲンを確認するためには食物除去試験(疑わしい食物を一週間除去して症状を確認する)や食物経口負荷試験を実施する必要があります。後者は最も信頼性が高い検査ですが、アナフィラキシーなどのリスクがあるので、数時間以上の連続した監視体制および事故対応が可能な登録施設でのみで実施していますhttps://www.foodallergy.jp/ofc/当クリニックで必要な場合は大学病院などの登録施設に依頼します)。

4. 食物アレルギー診断に関する新しい情報

食物アレルギーでは、血液検査で陽性である(感作されているといいます)のに、負荷試験で陰性であることが比較的多い理由の一つは、例えば、ピーナッツ特異的IgE抗体検査で使われるピーナッツエキスに含まれる蛋白質の中には、消化されにくく、分解されないまま吸収されるものもあれば、消化液ですぐに分解されてしまうものもあります。ピーナッツ特異的IgE抗体検査が陽性と判定されても、実は、消化を受けやすい蛋白質に対するIgE抗体だけが存在しているのであれば、食べても強い反応は出ません。そこで最近、様々な蛋白質が混ざった食物のそのままのエキスを用いる代わりに、それぞれの蛋白質(アレルゲン・コンポーネントとも呼ばれます)を検査に使用するに特異的IgE抗体検査方法が登場してきました。開発コストなどの問題があり、すぐに今までの方法の代わりになることはありませんが、ピーナッツによるアナフィラキシー診断等に有用なピーナッツの蛋白質Ara h 2、豆乳によるアナフィラキシーの診断に役立つ大豆蛋白質Gly m 4、そして小麦による運動誘発性アナフィラキシー(成人の食物アレルギーに関する解説で詳しく紹介する予定です)の診断に有用な小麦蛋白質ω5グリアジニンなどに対する特異的IgE抗体検査などが保険収載され、診断に使われ始めました。これらの抗体が陽性であれば、食物経口負荷試験をしなくても、かなりの確率で食物アレルギーと診断することが可能です。


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