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大人の食物アレルギー

2018年11月07日

大人の食物アレルギー

院長 中川武正

子供さんと同じように、大人でも食物アレルギーは起こります。20歳以上の方での原因食物は、1 エビ・カニなどの甲殻類、2 小麦、3 果物類、4 魚類、5 ソバ、6 鶏卵の順となります(厚生労働科学研究の調査)。症状としては、発赤・かゆみ・じんま疹や唇の腫れなどの皮膚粘膜症状と、嘔吐・腹痛・下痢などの消化器症状が多いのですが、時には呼吸困難やぜいぜい(喘鳴)などの呼吸器症状、血圧低下や意識消失などが出ます。そしてひどい時にはこれらが合わさって、アナフィラキシーショックに至ることもあり得ます。

●運動と小麦・甲殻類アレルギー 

私の外来に来られた男性は、朝食でパンを食べた後自転車通勤で汗をかいた後、身体のじんま疹や顔の腫れ、息苦しさが出ました。小麦製品を食べて運動することで症状がでやすいので、これを「小麦依存性運動誘発アナフィラキシー」と呼びます。ラーメンやうどんなどの小麦製品を食べて運動しても、症状が出ます。以前社会的問題となった「茶のしずく石鹸」によるアレルギー症状もこれによるものでした。

この場合、A 原因となる食物を食べる、B ランニングや自転車などで汗をかく、という2つの条件がそろうことが必要です。従って小麦製品を食べた後、2から3時間運動しないようにすれば大丈夫ですが、念のため医師に内服薬を処方してもらっておく方がよいでしょう。なお痛み止め服用時は症状が悪くなりやすいと報告されています。

エビやカニなどでは、食べただけで発症する人が多いのですが、運動した場合にのみ症状が出る人もいます。食物アレルギーによるアナフィラキシーの治療として、アドレナリンの自己注射薬「エピペン」が使用できます。症状の出始めの時点で、自分で大腿部に注射をします。医師の処方箋が必要ですが、食物アレルギーでショック症状を経験した人は、「エピペン」を携帯しておくと安全です。また食品購入の際はアレルギー物質の表示を確認して下さい。

●口腔アレルギー症候群
 口腔アレルギー症候群とは、果物や野菜を食べることで唇や口腔粘膜にじんま疹などができて、口内違和感やしびれ、腫れなどの症状が出るものです。それがひどくなると、アナフィラキシーにつながることもあります。
 これは、いろいろな木や草の花粉と野菜や果物の構造が似ていることが原因となって、起こります。スギ、ヒノキとトマトの関係が問題となっていますが、トマト過敏を訴える人はそんなに多くはありません。花粉と野菜、果物の関係は表に示す通りですが、ハンノキ、シラカンバに過敏な人は、多くの果物や野菜に反応する危険性があるので、注意して下さい。また天然ゴム(ラテックス)に過敏な人は、バナナ、クリ、アボガド、キウイにも反応しやすくて、これを「ラテックス‐フルーツ症候群」と呼びます。
 根本療法はなくなかなか治りにくいのですが、原因となる食物を避けるのが一番です。もし、疑わしい食物であれば、口の中に短時間含み、違和感があればはき出すようにして下さい。なお口腔アレルギー症状は、当該花粉の飛散時期に悪くなりやすいので注意が必要です。また念のため内服薬を所持しておく方がよいでしょう。